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自然に倣う広葉樹の森づくり

清和研二【著】

発行元:築地書館

ジャンル: 理工

2025/07/29発売

¥ 2,400 (税別)

搬入日(取次):15時までの注文は注文日の翌々営業日に取次搬入いたします。※営業日:月~金(祝日除く)

自然に倣う広葉樹の森づくり よみがえる山里

清和研二【著】

発行元:築地書館

ジャンル: 理工

2025/07/29発売

¥ 2,400 (税別)

搬入日(取次):15時までの注文は注文日の翌々営業日に取次搬入いたします。※営業日:月~金(祝日除く)

内容紹介

今、日本中の広葉樹林は再び太くなり、伐りはじめられている。

しかし、我々は本当の森の姿を知らない。
本来の日本の広葉樹林は、さまざまな樹種が混ざり合う多種共存の森だ。
時に針葉樹とも混ざり合う巨木の森だったのである。
広葉樹の森づくりでは、全層間伐と天然更新で地域固有の多様性をもつ巨木林をめざす。

樹木の寿命に合わせ、数百年にわたり利用しながら、年々大径化していく木々は、
数世代にわたり山里の人びとの暮らしを支えていくだろう。

森の恵みをていねいに引き出しながら、
森と山里を真の意味で豊かにする森づくりと林業のあり方を提案する。
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目次

序章 森とどんな関係を築いていこうとするのか
板切れ一つが懐かしい
気づきはじめた人たち
持続しなければ
森に聴く
自然に倣い、木を伐りながら成熟させる
森のそばで生活する人たちを応援する
本書の構成

Ⅰ部 巨木の森――地球を救う

1章 原始の森の巨木たち――記録と記憶から
開拓時代の原始林――大径・通直・高密度の三拍子
江戸時代の禁伐林――庄屋の記録
遠野の古老が語る巨木林
アイヌの古老が語る原始の森
失われた原生林――戦中戦後の大伐採
【コラム1】伐る側の倫理

2章 今に残る老齢林――学術調査から
水辺林
落葉広葉樹林
針広混交林
驚くべき樹齢――丸太の年輪を読む

3章 巨木の森は地球を甦らせる――炭素貯留と吸収による気候変動の抑制
年老いても炭素を貯めている――大径木頼み
大径化する〝樹種〟が重要
大径化する樹種が少ないことの危うさ

Ⅱ部 多種共存の森――どのように創られ、どんな恩恵を与えてくれるのか

4章 菌類が創る森の姿――木々の空間分布と種多様性
空間スケールを絞り込む――地球規模から一本の木の周辺まで
木々を孤立させる病原菌――ウワミズザクラとミズキ
【コラム2】老木の下の病原菌は毒性が強い
【コラム3】テンやタヌキに頼る――果肉を消化し遠くへ運ぶ
木々を群れさせる外生菌根菌――コナラとブナ
【コラム4】外生菌根菌とアーバスキュラー菌根菌
群れるか、孤立するかは菌根タイプで決まる
外生菌根菌の驚くべき力――病原菌を防御し土壌の栄養環境を改善する
〝ジャンゼン―コンネル仮説〟を超えて
菌類の種特異性が種多様性をコントロールする――置き換わるか、居座るか
蓄積する菌類の効果

5章 樹種の優占度を決めるもの――菌根タイプ・種子重・最大直径
ECMタイプの樹種の方がAMタイプより優占する
種子が重い樹種ほど優占する
最大直径が大きい樹種ほど優占する

6章 種多様性の恵み――地球で永く生きていくために
種多様性の回復――スギ人工林を広葉樹との混交林にする
水が綺麗になる
生産力が増大する
【コラム5】検証が進む種多様性と生産力の関係
持続する生産力
洪水・渇水を抑制する
【コラム6】人工林を小面積皆伐し混交林に
せっかちな人がつくった人工林と森の時間を刻む混交林

Ⅲ部 自然に倣う林業――多種共存の巨木林を目指しながら木材を生産する

7章 全層間伐――良質な大径材生産を可能にする
1 幹を太らす
混み合うECMタイプの一斉林――間伐を待っている
全層間伐が最適――下層間伐は効果小、上層間伐は不合理
間伐率は40%を超えてはならない――林分全体の生産力を減らさないために
アーバスキュラー菌根(AM)タイプは弱度の全層間伐――個体群を維持しながら太らす
【コラム7】健全な種子をつくるための個体間距離――花粉の交流を妨げない
間伐率――陽樹は高く陰樹は低く
全層間伐を繰り返す――まだまだ太りつづける――
【コラム8】直径の頻度分布形でわかる遷移系列
2 良質材をつくる――通直無節のメカニズムと処方箋
種固有の樹形――頂芽優勢と避陰反応
通直な木をつくる――密度管理と常緑針葉樹の側圧効果
後生枝の出やすい種と出にくい種――潜伏芽を貯め込むか否か
環孔材では密度管理に注意する
良質で大径な材をつくるための間伐率
3 天然更新――全層間伐では陰樹が優占

8章 群状間伐――大径化と種多様性を同時に目指す
1 巨木林を目指す
疎林の林相改良――立木密度を上げる
一斉林を異齢林に
回帰年を木の寿命に合わせる――巨木を生産しつづけるシステム
2 天然更新
更新場所の光環境と種子重
【コラム9】明るい場所を好む大種子?小動物を利用するクリとオニグルミ
種子重と実生の定着――種子散布、種子発芽、埋土種子、実生の成長
早い発芽――中種子をもつ遷移後期種の暗い林内で定着するための戦略
幅広い光環境で更新する――イタヤカエデ、ミズナラ
種多様性を最大にする間伐面積
群状間伐地の中央に太い木、まれな木を残す――種子供給と生態系サービスのため
良質大径材生産と種多様性が両立するランドスケープデザイン
明るくなると勢いづく菌根菌――間伐すると種多様性は減る?
【コラム10】常緑樹でササの繁茂を防げないか――地下茎から逃れる
3 人工植栽――なるべく植えない
種子の採取
地形を選ぶ樹種と気にしない樹種
【コラム11】ケヤキの危険分散――急傾斜でも平坦地でも
【コラム12】巨木は肥沃な場所に多い
多様性を次世代に残す――混植と天然更新の併用

9章 水辺林は伐らない、植えない
水辺で群れる木々――まずは自然再生から
山地渓流がつくる多様な微地形と種多様性――人工植栽は難しい
ヤナギの目が見分ける微細地形――植栽適地は人の目ではわからない
【コラム13】ヤナギの綿毛――最適な微地形に辿りつく

Ⅳ部 森との約束――共に生きていく

10章 木材の価値を決めるもの――森の恵みの大きさ
理念を貫く――山から街まで
森の近くで住みつづけるために――地域を挙げて豊かになる
理念は共有できるか――〝広葉樹を暮らしに活かす山形の会〟に集う人たち

11章 多様性そのものが優れたデザイン
木材利用は森の掟に従う――少数の優占種と多数の非優占種
かけがえのない家族――信州伊那谷の有賀さん
生態デザイン――新潟スノービーチの紙谷さん
実用の美――厳選するアイヌ/回る轆轤

12章 クマとの共生への長い道のり――棲み分けるための根本的方策
クマの本心――太い木の下で腹いっぱい食べたい
クリとオニグルミは伐らずに太らす――多様性は相補性
1000万haの防波堤――針葉樹人工林の広葉樹混交
最後の砦――山里に住む人たちをもっと大切に!

おわりに

参考文献
索引
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著者略歴

清和研二【著】

1954年山形県櫛引村(現・鶴岡市)生まれ。
北海道大学農学部卒業。
北海道林業試験場研究員、東北大学大学院農学研究科教授を経て、現在は名誉教授。
落葉広葉樹の開花から種子散布・発芽、実生成長の仕組みなどの繁殖生態を研究。
その後、森林の多種共存メカニズムの解明に取り組む。
近年は、種多様性回復が生態系サービスを著しく向上させることを観察中。
趣味は焚き火、植物スケッチ、食物の採取と栽培、木工。
著書に『多種共存の森』『樹は語る』『樹に聴く』(以上、築地書館)、
『スギと広葉樹の混交林』(農山漁村文化協会)、
編著・共著に『発芽生物学』『森の芽生えの生態学』(以上、文一総合出版)、
『樹木生理生態学』『森林の科学』(以上、朝倉書店)、『日本樹木誌』(日本林業調査会)、
『樹と暮らす』(築地書館)などがある。
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商品概要

発行元
築地書館
発売日
2025/07/29
ページ数
304p
ISBN
978-4-8067-1689-1
セット商品分売可否
単品分売不可
Cコード/ジャンルコード
0045 / 17
読者対象/成人指定
指定なし(デフォルト)

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