内容紹介
誰しもが道に迷う現代社会。青少年研究会調査データから、新しい生き方を模索する若者文化にみる、再帰的な生の諸相を描き出す。
「曲がり角」に差し掛かる日本社会。若者文化には、新しい社会のありようやライフスタイルを、反省的にとらえるふるまいが先駆的に見られる。30年にわたる青少年研究会調査から、「偶発性」「関係性」「再帰性」をキーワードに、SNS利用、友人・恋愛関係、能力主義や自己意識など、若者の再帰的ライフスタイルの諸相を読みとく。
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「曲がり角」に差し掛かる日本社会。若者文化には、新しい社会のありようやライフスタイルを、反省的にとらえるふるまいが先駆的に見られる。30年にわたる青少年研究会調査から、「偶発性」「関係性」「再帰性」をキーワードに、SNS利用、友人・恋愛関係、能力主義や自己意識など、若者の再帰的ライフスタイルの諸相を読みとく。
目次
序章 なぜ他人事ではなく自分事の若者論なのか[辻 泉]
──「曲がり角」の時代の「再帰的ライフスタイル」
0.1 なぜ他人事ではなく自分事の若者論なのか?
0.2 再帰的ライフスタイルを若者文化にみるということ
0.3 青少年研究会調査とは
0.4 本書の構成と各章紹介
第一部 リフレクシブ・ライブズⅠ:偶発性とメディア文化
第1章 若者はSNSのまなざしの先に何を見ているのか[二方龍紀]
──偶発性の中の再帰的ライフスタイル
1.1 若者に定着したSNS
1.2 インターネット・SNSと若者をめぐる議論
1.3 若者はSNSのまなざしの先に何を見ているのか
1.4 SNSをめぐるポリティクス
第2章 若者はメディア化された親密性をどのように築いているのか[木村絵里子]
──ソーシャルメディア・友人・恋愛
2.1 親密性のプラットフォームとしてのメディア
2.2 メディアと親密性に関する議論
2.3 メディアが媒介する親密性の諸相
2.4 再帰的ライフスタイルとしてのメディア化された親密性
第3章 ショート動画で音楽を聴く若者はどう再帰的か[木島由晶]
──消費の液状化と美的再帰性をめぐって
3.1 脱物質化する文化消費
3.2 再帰的近代社会と消費
3.3 新しい消費スタイルの影響を探る
3.4 ポストモダンの日常化
第二部 リフレクシブ・ライブズⅡ:関係性という居場所
第4章 友人関係の多元性・再帰性は若者の孤独感を高めるか[小川豊武]
──変わる関係性と変わらない規範
4.1 コロナ禍で「奪われた青春」?
4.2 若者の友人関係と孤独に関する議論
4.3 若者の孤独感の実態とその規定要因
4.4 若者自身が用いている規範の研究へ向けて
第5章 恋愛はリスクなのか――安心感を求める若者たち[羽渕一代]
5.1 性行動のリスク化と恋愛
5.2 理解や安心を求める若者
5.3 生殖家族形成の停滞と定位家族の紐帯の相対的強化
5.4 最も親密な相手,母親
第6章 「歴=年齢」の若者は自分が嫌いなのか[久保田裕之]
──「非モテ」のジェンダー構造と社会的スティグマ
6.1 恋愛はいかなる「選択科目」か
6.2 社会的承認としての「モテ」とその欠如
6.3 調査からみる「恋愛交際経験がないこと」
6.4 「非モテ」インパクトのジェンダー差
第7章 結婚で何が重視されているのか[井口尚樹]
──配偶者に重視した点と夫婦関係満足度の検討から
7.1 結婚の意味づけの検討の必要性
7.2 「純粋な関係性」と経済
7.3 配偶者選択と夫婦関係満足度
7.4 「経済も関係性も」のハードルと,その乗り越えに向けて
第三部 リフレクシブ・ライブズⅢ:再帰性と自己・社会
第8章 定職は大人の条件か[妹尾麻美]
──変わらないロスジェネ,承認を求める今の若者
8.1 若者バッシングと労働
8.2 個人と社会の媒介となってきた職業
8.3 アイデンティティと定職意識の関連
8.4 職業によって結びつかない個人と社会
第9章 努力主義の衰退は何をもたらすのか[寺地幹人]
──「親ガチャ」の時代を生きる若者たち
9.1 努力の昭和,格差の平成,そして「親ガチャ」の令和へ
9.2 青少年研究会調査と「親ガチャ」論
9.3 データからみる努力主義の衰退
9.4 「親ガチャ」の時代を生きる若者たち
第10章 若者たちは〈不安〉とどう向き合っているのか[岩田 考]
──〈能力不安〉が変える「私」と「社会」
10.1 AIによって増幅する〈能力不安〉
10.2 〈能力不安〉とは何か
10.3 若者たちのサバイバル戦略
10.4 〈能力不安〉は「社会」を変えるか
第11章 「私」のあり方と「社会」への態度はどう関係しているのか[牧野智和]
──アイデンティティ資本と世代継承性の関係について
11.1 自己意識に織り込まれている「社会」
11.2 自己意識と社会への態度の結びつきをどう考えるか
11.3 アイデンティティ資本の効用分析
11.4 アイデンティティ資本の複雑な効用,およびその展望
第四部 リフレクシブ・ライブズⅣ:青少年研究会の30年
第12章 「失われた世代」はどのように失われたか[浅野智彦]
──自己意識の世代間・世代内比較
12.1 3つの名前を持つ世代
12.2 特異なのか連続しているのか
12.3 世代の効果と年齢の効果
12.4 若者論のゆくえ
第13章 大悲観の小楽観,若者たちは社会と時代をどう見てきたか[藤村正之]
──社会意識の変容と底流
13.1 「戦争と経済成長を知らない若者たち」が見る社会
13.2 価値意識が変容する時代をとらえるための視座
13.3 若者たちの社会・時代・生活を見る眼──その変容と底流
13.4 自己成長と社会衰退の2ベクトルの中を生きる若者たち──大悲観の小楽観
おわりに
索引
編者・執筆者略歴
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──「曲がり角」の時代の「再帰的ライフスタイル」
0.1 なぜ他人事ではなく自分事の若者論なのか?
0.2 再帰的ライフスタイルを若者文化にみるということ
0.3 青少年研究会調査とは
0.4 本書の構成と各章紹介
第一部 リフレクシブ・ライブズⅠ:偶発性とメディア文化
第1章 若者はSNSのまなざしの先に何を見ているのか[二方龍紀]
──偶発性の中の再帰的ライフスタイル
1.1 若者に定着したSNS
1.2 インターネット・SNSと若者をめぐる議論
1.3 若者はSNSのまなざしの先に何を見ているのか
1.4 SNSをめぐるポリティクス
第2章 若者はメディア化された親密性をどのように築いているのか[木村絵里子]
──ソーシャルメディア・友人・恋愛
2.1 親密性のプラットフォームとしてのメディア
2.2 メディアと親密性に関する議論
2.3 メディアが媒介する親密性の諸相
2.4 再帰的ライフスタイルとしてのメディア化された親密性
第3章 ショート動画で音楽を聴く若者はどう再帰的か[木島由晶]
──消費の液状化と美的再帰性をめぐって
3.1 脱物質化する文化消費
3.2 再帰的近代社会と消費
3.3 新しい消費スタイルの影響を探る
3.4 ポストモダンの日常化
第二部 リフレクシブ・ライブズⅡ:関係性という居場所
第4章 友人関係の多元性・再帰性は若者の孤独感を高めるか[小川豊武]
──変わる関係性と変わらない規範
4.1 コロナ禍で「奪われた青春」?
4.2 若者の友人関係と孤独に関する議論
4.3 若者の孤独感の実態とその規定要因
4.4 若者自身が用いている規範の研究へ向けて
第5章 恋愛はリスクなのか――安心感を求める若者たち[羽渕一代]
5.1 性行動のリスク化と恋愛
5.2 理解や安心を求める若者
5.3 生殖家族形成の停滞と定位家族の紐帯の相対的強化
5.4 最も親密な相手,母親
第6章 「歴=年齢」の若者は自分が嫌いなのか[久保田裕之]
──「非モテ」のジェンダー構造と社会的スティグマ
6.1 恋愛はいかなる「選択科目」か
6.2 社会的承認としての「モテ」とその欠如
6.3 調査からみる「恋愛交際経験がないこと」
6.4 「非モテ」インパクトのジェンダー差
第7章 結婚で何が重視されているのか[井口尚樹]
──配偶者に重視した点と夫婦関係満足度の検討から
7.1 結婚の意味づけの検討の必要性
7.2 「純粋な関係性」と経済
7.3 配偶者選択と夫婦関係満足度
7.4 「経済も関係性も」のハードルと,その乗り越えに向けて
第三部 リフレクシブ・ライブズⅢ:再帰性と自己・社会
第8章 定職は大人の条件か[妹尾麻美]
──変わらないロスジェネ,承認を求める今の若者
8.1 若者バッシングと労働
8.2 個人と社会の媒介となってきた職業
8.3 アイデンティティと定職意識の関連
8.4 職業によって結びつかない個人と社会
第9章 努力主義の衰退は何をもたらすのか[寺地幹人]
──「親ガチャ」の時代を生きる若者たち
9.1 努力の昭和,格差の平成,そして「親ガチャ」の令和へ
9.2 青少年研究会調査と「親ガチャ」論
9.3 データからみる努力主義の衰退
9.4 「親ガチャ」の時代を生きる若者たち
第10章 若者たちは〈不安〉とどう向き合っているのか[岩田 考]
──〈能力不安〉が変える「私」と「社会」
10.1 AIによって増幅する〈能力不安〉
10.2 〈能力不安〉とは何か
10.3 若者たちのサバイバル戦略
10.4 〈能力不安〉は「社会」を変えるか
第11章 「私」のあり方と「社会」への態度はどう関係しているのか[牧野智和]
──アイデンティティ資本と世代継承性の関係について
11.1 自己意識に織り込まれている「社会」
11.2 自己意識と社会への態度の結びつきをどう考えるか
11.3 アイデンティティ資本の効用分析
11.4 アイデンティティ資本の複雑な効用,およびその展望
第四部 リフレクシブ・ライブズⅣ:青少年研究会の30年
第12章 「失われた世代」はどのように失われたか[浅野智彦]
──自己意識の世代間・世代内比較
12.1 3つの名前を持つ世代
12.2 特異なのか連続しているのか
12.3 世代の効果と年齢の効果
12.4 若者論のゆくえ
第13章 大悲観の小楽観,若者たちは社会と時代をどう見てきたか[藤村正之]
──社会意識の変容と底流
13.1 「戦争と経済成長を知らない若者たち」が見る社会
13.2 価値意識が変容する時代をとらえるための視座
13.3 若者たちの社会・時代・生活を見る眼──その変容と底流
13.4 自己成長と社会衰退の2ベクトルの中を生きる若者たち──大悲観の小楽観
おわりに
索引
編者・執筆者略歴