縄文の断片から見えてくる
内容紹介
◇◆◇この書籍の小売店頭価格は、2000円+税です◇◆◇
はじめて語られる、縄文土器の修復の世界。
修復から考える縄文土器。
熟練の修復家が実際に触れて感じる縄文の技と心と「わからなさ」
一般にはほとんど知られていない縄文土器の修復の迷宮を探る。
土の中から破片が発掘され、修復され、私たちが縄文土器として目にするまでには、いくつもの実に厄介な、意外に身近な問題が存在する。欠損の意味、文様の繰り返し、修復の介入度合い、修復箇所の判別、完形復元すると見えなくなるもの、現代感覚で修復する危うさ……。そもそも「修復とは何のために何をすることなのか」という問題を抱える考古遺物・考古学の迷宮を、縄文土器の修復という営みから、また世界の修復事例から、人類学者と修復家が探求する。
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はじめて語られる、縄文土器の修復の世界。
修復から考える縄文土器。
熟練の修復家が実際に触れて感じる縄文の技と心と「わからなさ」
一般にはほとんど知られていない縄文土器の修復の迷宮を探る。
土の中から破片が発掘され、修復され、私たちが縄文土器として目にするまでには、いくつもの実に厄介な、意外に身近な問題が存在する。欠損の意味、文様の繰り返し、修復の介入度合い、修復箇所の判別、完形復元すると見えなくなるもの、現代感覚で修復する危うさ……。そもそも「修復とは何のために何をすることなのか」という問題を抱える考古遺物・考古学の迷宮を、縄文土器の修復という営みから、また世界の修復事例から、人類学者と修復家が探求する。
目次
序章 修復の世界への招待
発掘現場の出土品から展覧会の展示品へ/出土したときの国宝土偶/出土品への修復という介入/考古遺物の修復と美術品の修復/修復における自由裁量の幅/出土品、修復家、監修者/結果を形にしなければならない修復という仕事/修復とはそもそも何なのか
第一章 考古遺物の修復の現場から
1 文化財の保存修復とは何か
文化財修復の現場で触れて感じて考える/考古遺物の修復という仕事/文化財保存修復の理念―四つの原則/文化財修復技術者の規定/修理と修復、復元と復原/考古資料の素材の多様さと保存処理―金属資料を例に
2 縄文土器の修復
土器修復の基本方針とその工程/復元部分の取り扱い/縄文土器を見る現代人の眼/意図的な破壊による欠損/破片の行方/欠損部分の復元―文様は繰り返すとはかぎらない/縄文人は文様で遊ぶ?/文様の図と地
3 考古遺物の複製そしてレプリカ
見取りと型取り/現状記録資料としての複製/デジタル技術によるレプリカ作成/レプリカで構成する展示―複製とは何か、本物とは何か/本物かレプリカか―博物館の役割と視覚偏重/触れる複製の可能性/「クローン文化財」という新技術/「本物のレプリカ」/縄文人の心に触れる楽しみ―あえて不完全を残す?
第二章 修復からみた縄文土器の「わからなさ」
1 縄文とともに現代を生きる
「わからなさ」の魅力
2 修復における厄介な問題
修復を行うのは誰か/共繕い/縄文土器修復の概要/修復する度にかたちが変わる/簡単ではない縄文土器の修復 /なぜ破片が「消える」のか
3 「向こう合わせ」の造形
縄文土器に触れて感じる「わからなさ」/写実性のない縄文時代/「向こう合わせ」による非写実性の生成/規範とは何か/縄文土器に見る規範/「現代人の発想」の危うさ/写すのではなく、この世にないものをつくる/触覚を優先する造形思考/素材の先導力/私たちにもできる「向こう合わせ」の造形
4 現れてくるものを受け入れる
「つくること」からかたちが生まれる/非写実性から現れてくるもの/「ないもの」が現れてくる/現れてくるものを待つ
5 縄文土器修復の目指すところ
修復に代わる推定模造/土器修復の理想像
第三章 遺物の修復について人類学者が考える―断片・経年変化・複製・展示
1 修復とは何のために何をすることなのか
遺物の生涯の一コマとしての修復/本章で考察すること
2 断片より完形を偏重すること
さまざまな断片化/断片と欠損には意味がある/完形に復することが修復の目的か―芸術品修復との比較
3 経年変化とアンチエイジング
実物も修復品も年をとる/修復における「可逆性」の問題
4 実物をとりまく複数の複製
複製とは何か/修復の役割、複製の役割 /さまざまな複製/マテリアルな複製、デジタルな複製
5 保存だけでなく展示のために
保存のための修復、展示のための修復/触れない本物、触れるレプリカ
6 修復は単品では完結しない
独立したオブジェの幻想/修復におけるモノのネットワークと未完の修復
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発掘現場の出土品から展覧会の展示品へ/出土したときの国宝土偶/出土品への修復という介入/考古遺物の修復と美術品の修復/修復における自由裁量の幅/出土品、修復家、監修者/結果を形にしなければならない修復という仕事/修復とはそもそも何なのか
第一章 考古遺物の修復の現場から
1 文化財の保存修復とは何か
文化財修復の現場で触れて感じて考える/考古遺物の修復という仕事/文化財保存修復の理念―四つの原則/文化財修復技術者の規定/修理と修復、復元と復原/考古資料の素材の多様さと保存処理―金属資料を例に
2 縄文土器の修復
土器修復の基本方針とその工程/復元部分の取り扱い/縄文土器を見る現代人の眼/意図的な破壊による欠損/破片の行方/欠損部分の復元―文様は繰り返すとはかぎらない/縄文人は文様で遊ぶ?/文様の図と地
3 考古遺物の複製そしてレプリカ
見取りと型取り/現状記録資料としての複製/デジタル技術によるレプリカ作成/レプリカで構成する展示―複製とは何か、本物とは何か/本物かレプリカか―博物館の役割と視覚偏重/触れる複製の可能性/「クローン文化財」という新技術/「本物のレプリカ」/縄文人の心に触れる楽しみ―あえて不完全を残す?
第二章 修復からみた縄文土器の「わからなさ」
1 縄文とともに現代を生きる
「わからなさ」の魅力
2 修復における厄介な問題
修復を行うのは誰か/共繕い/縄文土器修復の概要/修復する度にかたちが変わる/簡単ではない縄文土器の修復 /なぜ破片が「消える」のか
3 「向こう合わせ」の造形
縄文土器に触れて感じる「わからなさ」/写実性のない縄文時代/「向こう合わせ」による非写実性の生成/規範とは何か/縄文土器に見る規範/「現代人の発想」の危うさ/写すのではなく、この世にないものをつくる/触覚を優先する造形思考/素材の先導力/私たちにもできる「向こう合わせ」の造形
4 現れてくるものを受け入れる
「つくること」からかたちが生まれる/非写実性から現れてくるもの/「ないもの」が現れてくる/現れてくるものを待つ
5 縄文土器修復の目指すところ
修復に代わる推定模造/土器修復の理想像
第三章 遺物の修復について人類学者が考える―断片・経年変化・複製・展示
1 修復とは何のために何をすることなのか
遺物の生涯の一コマとしての修復/本章で考察すること
2 断片より完形を偏重すること
さまざまな断片化/断片と欠損には意味がある/完形に復することが修復の目的か―芸術品修復との比較
3 経年変化とアンチエイジング
実物も修復品も年をとる/修復における「可逆性」の問題
4 実物をとりまく複数の複製
複製とは何か/修復の役割、複製の役割 /さまざまな複製/マテリアルな複製、デジタルな複製
5 保存だけでなく展示のために
保存のための修復、展示のための修復/触れない本物、触れるレプリカ
6 修復は単品では完結しない
独立したオブジェの幻想/修復におけるモノのネットワークと未完の修復