内容紹介
「おまわりさん」の名称の起源は、幕末に江戸市中を巡回警備した新徴組にあるといわれる。
その「大江戸のおまわりさん」こと「新徴組」を真正面から対象にした解説書です。
「恐ろしき者といふなる新徴組」(幸田露伴『風流仏』)と江戸市民が恐怖におののいた新徴組とはどのような存在だったのか。幕府が文久2年(1862)に募集した「浪士組」に集まった志士たちは、幕府の命令に従って江戸に帰還し、治安維持に従事する大多数の新徴組と、そのまま京都に残留して幕府の側にたち京都の治安維持に従事する少数の新選組に分かれたが、本書の前半では新選組にも関係する史料逸話が多く登場する。新選組ファンも必読の書。
【それにつけても、「尽忠報国」の志から浪士組に参加し、それを経て新徴組へ残留した志士たちの「本懐」は、はたして遂げられたのであろうか。彼らは庶民身分かそれに近い出自であったが、知識欲のあるインテリや、武術に秀でる剣客であったりして、熱意だけは人一倍であった。その過程こそ、たしかに劇的な展開をみせたが...。激動の幕末・維新期という時代に翻弄された彼らの人生の前半生を、史料の端々から読み取っていただければ幸いである。】
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その「大江戸のおまわりさん」こと「新徴組」を真正面から対象にした解説書です。
「恐ろしき者といふなる新徴組」(幸田露伴『風流仏』)と江戸市民が恐怖におののいた新徴組とはどのような存在だったのか。幕府が文久2年(1862)に募集した「浪士組」に集まった志士たちは、幕府の命令に従って江戸に帰還し、治安維持に従事する大多数の新徴組と、そのまま京都に残留して幕府の側にたち京都の治安維持に従事する少数の新選組に分かれたが、本書の前半では新選組にも関係する史料逸話が多く登場する。新選組ファンも必読の書。
【それにつけても、「尽忠報国」の志から浪士組に参加し、それを経て新徴組へ残留した志士たちの「本懐」は、はたして遂げられたのであろうか。彼らは庶民身分かそれに近い出自であったが、知識欲のあるインテリや、武術に秀でる剣客であったりして、熱意だけは人一倍であった。その過程こそ、たしかに劇的な展開をみせたが...。激動の幕末・維新期という時代に翻弄された彼らの人生の前半生を、史料の端々から読み取っていただければ幸いである。】
目次
はじめに―「おまわりさん」の起源へ
史料の出典について
第一章 浪士組、江戸に結集
第一節 寺田屋事件から浪士組集結へ
幕府、「大赦」へ傾斜する/清河八郎の赦免/幕閣、浪士対策を決断/北関東への徴募活動/浪士組の編成/根岸友山のグループ/江戸試衛館・近藤勇のグループ
第二節 組に集う人々、離れる人々
浪士組の上洛と分裂/浪士組、甲州で追加募集/早川文太郎(暮地義信)の武者修行と浪士組参加/早川の浪士組参加/帰府浪士組の宿営先
第三節 暴走と解体
浪士屋敷の変遷/浪士組の強談/浪士組の悪い噂/幕府、浪士組を解体/攘夷決行直前、清河八郎暗殺/清河八郎の風聞/八郎暗殺の風説/三笠町御用屋敷の抱囲陣/浪士組組士の捕縛・壊滅
第二章 新徴組の誕生
第一節 浪士組の再編
壬生浪士組/根岸友山グループ/芹沢鴨グループ/八月十八日の政変/思想的に特化した新選組/新徴組の誕生 幕臣から庄内藩士へ
第二節 警護・消防・武士化
英国と戦端を開けば、陣地は芝新銭座の江川調練場/和宮の叱咤 炎上する西之丸の防火出動/格式は小普請方伊賀者次席
第三節 組士の逸脱と仇討
新徴組への張訴/逸脱する組士/小頭は甲州侠客/仇討ちの真相/祐天の生い立ち/親分として売り出す/検死と遺恨/大名預/庄内藩士二・三男、新徴組へ編入/黐木坂の組屋敷へ引越
第四節 幕府御抱えから庄内藩への委任
新徴組、庄内藩へ委任/肴屋も兼業していた組士/捕えてみたら飯野藩士/綱紀粛正と新徴法令/元治元年(一八六四)のできごと/熊本藩邸を強請る組士/組士すべてが庄内藩士に/組士の待遇と出自
第三章 御府内江戸の治安維持
第一節 治安維持への準備
新徴組の陣容と幕府の庄内藩動員/庄内藩の新徴組綱紀粛正/市中廻り方/昼夜廻りの任命
第二節 新徴組事件簿
元新徴組の強盗/旗本を斬り捨て、組士も詰腹/講武所剣術教授方桃井春蔵との問答/慶応二年(一八六六)のできごと/諸色高直につき貧民屯集一件/組士の遭難・刃傷事件/増える新徴組への出動要請/千住宿大黒屋にて御廻り方侍四人召し捕え一件/向島土手下隅田村にて人殺し一件
第三節 組士 千葉弥一郎が記録した新徴組
新徴組の組織と御府内巡邏/江戸市中廻り方 江戸の「お廻り」/廻りの活躍、猿若町酒屋強盗一件/幕府歩兵組との事件/板橋関門守衛の西端藩からの難題/表二番町旗本徳永帯刀屋敷の白昼強盗一件/旧幕府歩兵の吉原遊郭乱入事件
第四章 戊辰戦争と戦後の組士たち
第一節 戊辰戦争へ
庄内藩から見た薩摩藩邸焼き討ち事件/江戸から庄内への退去/庄内戦争と新徴組/分部宗右衛門、代官に抜擢/庄内藩の降伏 新徴町の組屋敷
第二節 組士たちの転身
松ケ岡開墾事業への従事・脱走・離脱/平組士たちの実像/千葉弥一郎―小説家からも重宝された幕末史の語り部/石坂周造―「石油王」となった組士/馬場兵助―郷里に家族で帰農して原野を開墾/旧新徴士会と清河八郎顕彰運動/三宅島流罪となった組士石原富蔵
おわりに
史料による新徴組年表/参考書目/甲斐・伊豆両国 浪士組・新徴組参加者の出自一覧表
索引
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史料の出典について
第一章 浪士組、江戸に結集
第一節 寺田屋事件から浪士組集結へ
幕府、「大赦」へ傾斜する/清河八郎の赦免/幕閣、浪士対策を決断/北関東への徴募活動/浪士組の編成/根岸友山のグループ/江戸試衛館・近藤勇のグループ
第二節 組に集う人々、離れる人々
浪士組の上洛と分裂/浪士組、甲州で追加募集/早川文太郎(暮地義信)の武者修行と浪士組参加/早川の浪士組参加/帰府浪士組の宿営先
第三節 暴走と解体
浪士屋敷の変遷/浪士組の強談/浪士組の悪い噂/幕府、浪士組を解体/攘夷決行直前、清河八郎暗殺/清河八郎の風聞/八郎暗殺の風説/三笠町御用屋敷の抱囲陣/浪士組組士の捕縛・壊滅
第二章 新徴組の誕生
第一節 浪士組の再編
壬生浪士組/根岸友山グループ/芹沢鴨グループ/八月十八日の政変/思想的に特化した新選組/新徴組の誕生 幕臣から庄内藩士へ
第二節 警護・消防・武士化
英国と戦端を開けば、陣地は芝新銭座の江川調練場/和宮の叱咤 炎上する西之丸の防火出動/格式は小普請方伊賀者次席
第三節 組士の逸脱と仇討
新徴組への張訴/逸脱する組士/小頭は甲州侠客/仇討ちの真相/祐天の生い立ち/親分として売り出す/検死と遺恨/大名預/庄内藩士二・三男、新徴組へ編入/黐木坂の組屋敷へ引越
第四節 幕府御抱えから庄内藩への委任
新徴組、庄内藩へ委任/肴屋も兼業していた組士/捕えてみたら飯野藩士/綱紀粛正と新徴法令/元治元年(一八六四)のできごと/熊本藩邸を強請る組士/組士すべてが庄内藩士に/組士の待遇と出自
第三章 御府内江戸の治安維持
第一節 治安維持への準備
新徴組の陣容と幕府の庄内藩動員/庄内藩の新徴組綱紀粛正/市中廻り方/昼夜廻りの任命
第二節 新徴組事件簿
元新徴組の強盗/旗本を斬り捨て、組士も詰腹/講武所剣術教授方桃井春蔵との問答/慶応二年(一八六六)のできごと/諸色高直につき貧民屯集一件/組士の遭難・刃傷事件/増える新徴組への出動要請/千住宿大黒屋にて御廻り方侍四人召し捕え一件/向島土手下隅田村にて人殺し一件
第三節 組士 千葉弥一郎が記録した新徴組
新徴組の組織と御府内巡邏/江戸市中廻り方 江戸の「お廻り」/廻りの活躍、猿若町酒屋強盗一件/幕府歩兵組との事件/板橋関門守衛の西端藩からの難題/表二番町旗本徳永帯刀屋敷の白昼強盗一件/旧幕府歩兵の吉原遊郭乱入事件
第四章 戊辰戦争と戦後の組士たち
第一節 戊辰戦争へ
庄内藩から見た薩摩藩邸焼き討ち事件/江戸から庄内への退去/庄内戦争と新徴組/分部宗右衛門、代官に抜擢/庄内藩の降伏 新徴町の組屋敷
第二節 組士たちの転身
松ケ岡開墾事業への従事・脱走・離脱/平組士たちの実像/千葉弥一郎―小説家からも重宝された幕末史の語り部/石坂周造―「石油王」となった組士/馬場兵助―郷里に家族で帰農して原野を開墾/旧新徴士会と清河八郎顕彰運動/三宅島流罪となった組士石原富蔵
おわりに
史料による新徴組年表/参考書目/甲斐・伊豆両国 浪士組・新徴組参加者の出自一覧表
索引
著者略歴
続きを読む商品概要
発行元
文学通信
流通委託先
八木書店(出版部)
発売日
2021/11/04
ページ数
240p
ISBN
978-4-909658-65-4
セット商品分売可否
単品分売不可
Cコード/ジャンルコード
0221
読者対象/成人指定
指定なし(デフォルト)
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