羊たちの沈黙は、なぜ続くのか?




内容紹介
新自由主義資本主義が支配するエリート民主政治の行き着く先は、私たちの社会と生活の破壊だ。民主政治と自由。この二つの言葉は、私たちの社会にとって、とてつもなく大きな約束を意味し、その実現のために途方もないエネルギーを解き放つ力を持つ。しかし、かつてこの二つの言葉に込められていた人々の希望は、もはや影も形も残っていない。いったい何があったのだろうか? いまだかつて、この二つの言葉ほど、大きな希望が託されながら、社会にとって惨たらしいことに、本来の意味が骨抜きにされ、改竄され、乱用され、その本来の意味に触発されて考え行動を起こした人々を抑圧するための手段として転用されたものは、ほかにない。
「民主政治」と言いながら、現実の世界では、経済と政治のエリートたちが、選挙という形をとりながら、権力を独占している。そこでは社会の中心をなす経済が民主的なコントロール下で運営されず、また説明責任もない。その結果、我々の生活に直接関わってくる社会組織の大部分が民主政治の手の届かない場所にあるのだ。一方の「自由」は、今ではもっぱら経済的強者の自由を意味するようになった。
オーウェルさながらのこの転意のおかげで、これら二つの言葉は、『歴史に残る誤用単語辞典』のなかでも特別な位置を占めることになった。この二つの言葉がもたらす毒によって、人道的な社会を築き、暴力を抑えるという私たちの文明に対する希望は混乱し、濁り、分解され、集合的記憶からほぼ完全に消し去られてしまった。これら二つの言葉に結びついていた希望が文明社会から失われてしまったために、今の私たちには現行の権力構造に取って代わるべき魅力的で人道的な代替案を政治的に表明するのが難しい。いやそれどころか、それらを考えることすら困難になってしまった。
教育とメディアによる教化が、本当の権力を不可視に、社会を権威主義と全体主義に、民衆を従順な羊たちに変えた人心教化プログラムを解き明かす。新自由主義イデオロギーの本質を明らかにし、沈黙を続ける羊たちに覚醒と自己変革を促す注目のベストセラー。本邦初訳。
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「民主政治」と言いながら、現実の世界では、経済と政治のエリートたちが、選挙という形をとりながら、権力を独占している。そこでは社会の中心をなす経済が民主的なコントロール下で運営されず、また説明責任もない。その結果、我々の生活に直接関わってくる社会組織の大部分が民主政治の手の届かない場所にあるのだ。一方の「自由」は、今ではもっぱら経済的強者の自由を意味するようになった。
オーウェルさながらのこの転意のおかげで、これら二つの言葉は、『歴史に残る誤用単語辞典』のなかでも特別な位置を占めることになった。この二つの言葉がもたらす毒によって、人道的な社会を築き、暴力を抑えるという私たちの文明に対する希望は混乱し、濁り、分解され、集合的記憶からほぼ完全に消し去られてしまった。これら二つの言葉に結びついていた希望が文明社会から失われてしまったために、今の私たちには現行の権力構造に取って代わるべき魅力的で人道的な代替案を政治的に表明するのが難しい。いやそれどころか、それらを考えることすら困難になってしまった。
教育とメディアによる教化が、本当の権力を不可視に、社会を権威主義と全体主義に、民衆を従順な羊たちに変えた人心教化プログラムを解き明かす。新自由主義イデオロギーの本質を明らかにし、沈黙を続ける羊たちに覚醒と自己変革を促す注目のベストセラー。本邦初訳。
目次
目次
序章
第一章 なぜ羊たちは沈黙を続けるのか?−−最悪の戦争犯罪とモラルの毀損は、いかにして人々の目と意識から隠されるか?
第二章 権力エリートは民衆を恐れている。−−ソフトパワーの手法によるデモクラシー・マネジメント
第三章 新自由主義の洗脳−−あるネット新聞とのインタビュー
第四章 「土地を所有するものこそ、その土地を統治すべし」−−デモクラシー回避の手段としての代議制デモクラシー
第五章 マスメディアによる洗脳−−イェンス・ヴェルニケ(ジャーナリスト)との対話
第六章 「迷う群衆」をいかに自分たちの軌道に乗せ続けるか−−公共の議論の場を制限し、異論を排斥する
第七章 中道という幻影−−カルテル政党−−連邦議会選挙
第八章 人種差別、資本主義、そして「支配者たち」の価値共同体
第九章 デモクラシーと白色拷問−−拷問の不可視化への心理学の貢献
参考文献、人名索引
解説 水野和夫
特別寄稿 アーサー・ビナード
訳者あとがき
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序章
第一章 なぜ羊たちは沈黙を続けるのか?−−最悪の戦争犯罪とモラルの毀損は、いかにして人々の目と意識から隠されるか?
第二章 権力エリートは民衆を恐れている。−−ソフトパワーの手法によるデモクラシー・マネジメント
第三章 新自由主義の洗脳−−あるネット新聞とのインタビュー
第四章 「土地を所有するものこそ、その土地を統治すべし」−−デモクラシー回避の手段としての代議制デモクラシー
第五章 マスメディアによる洗脳−−イェンス・ヴェルニケ(ジャーナリスト)との対話
第六章 「迷う群衆」をいかに自分たちの軌道に乗せ続けるか−−公共の議論の場を制限し、異論を排斥する
第七章 中道という幻影−−カルテル政党−−連邦議会選挙
第八章 人種差別、資本主義、そして「支配者たち」の価値共同体
第九章 デモクラシーと白色拷問−−拷問の不可視化への心理学の貢献
参考文献、人名索引
解説 水野和夫
特別寄稿 アーサー・ビナード
訳者あとがき
著者略歴
続きを読む商品概要
発行元
日曜社
流通委託先
トランスビュー
発売日
2022/11/30
ページ数
420p
判型(実寸)
219mm × 145mm
ISBN
978-4-9909696-4-6
セット商品分売可否
単品分売不可
Cコード/ジャンルコード
0036
読者対象/成人指定
指定なし(デフォルト)