失われた「文学」を求めて【文芸時評編】




内容紹介
日本の文芸シーンは現在、まごうことなく沈滞している。だがその沈滞は、小説家が書くべきことを失ったからではない。書くべきことがありながら、そこから目を背けているか、書きうる技能あるいは勇気が欠如しているからだ――。
政治を語る言葉を失った日本の小説、震災後文学が崩壊した「美しい顔」盗用問題、ポストモダン文学から「ド文学」への退行、新自由主義による〈鬱〉からの〈恢復〉、「新潮45」休刊事件、中国SFの台頭、そしてコロナの時代の文学とは……。批評なき時代に「文学」の未来は存在するのか? 取り上げた小説は50作品以上! 小説の「現在」と格闘し続けた45カ月! 2010年代を俯瞰し2020年代の潮流を先読みする最強の文芸時評かつ小説ガイド!
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政治を語る言葉を失った日本の小説、震災後文学が崩壊した「美しい顔」盗用問題、ポストモダン文学から「ド文学」への退行、新自由主義による〈鬱〉からの〈恢復〉、「新潮45」休刊事件、中国SFの台頭、そしてコロナの時代の文学とは……。批評なき時代に「文学」の未来は存在するのか? 取り上げた小説は50作品以上! 小説の「現在」と格闘し続けた45カ月! 2010年代を俯瞰し2020年代の潮流を先読みする最強の文芸時評かつ小説ガイド!
目次
■はじめに:文学(へ)のリハビリテーション
■文芸時評――失われた「文学」を求めて
▼政治を語る言葉を失った日本の小説
村田沙耶香『コンビニ人間』
崔実『ジニのパズル』
▼単なる政権批判や反原発小説ではなく
黒川創『岩場の上から』
▼「ゾンビ」ではなく「武者」を!
古川日出男:訳『平家物語』
羽田圭介『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』
▼孤軍奮闘で書き継いだ「新しい政治小説」
星野智幸『星野智幸コレクション』全四巻
▼「読む人」「書く人」「作る人」のトライアングル
長谷川郁夫『編集者 漱石』
渡部直己『日本批評大全』
▼現代におけるフォークロア
村上春樹『騎士団長殺し』
▼ポストモダンの行き止まりとしての「ド文学」
又吉直樹『劇場』
▼「中核市のリアリズム」が出会った王朝物語
佐藤正午『月の満ち欠け』
▼日本を迂回して世界文学へ
東山彰良『僕が殺した人と僕を殺した人』
▼「震災後」の現代文学の見取り図
限界研:編『東日本大震災後文学論』
「文藝」二〇一七年・秋季号
▼自分自身の場所を確保せよ
レベッカ・ソルニット『ウォークス――歩くことの精神史』
▼迎撃に失敗した昭和・平成の男たち
橋本治『草薙の剣』
▼現代文学の次の「特異点」とは?
上田岳弘『キュー』
▼「パラフィクション」と「ハード純文学」の間に
佐々木敦『筒井康隆入門』
小谷野敦『純文学とは何か』
▼プロテスタンティズムの精神
松家仁之『光の犬』
▼ポストモダニストの「偽装転向宣言」か?
いとうせいこう『小説禁止令に賛同する』
▼行き場を失った者たちが語る絶望の物語
星野智幸『焰』
▼文芸が存在するかぎり終わることはない戦い
古川日出男『ミライミライ』
▼現代中国のスペキュレイティブ・フィクション
ケン・リュウ:編『折りたたみ北京――現代中国SFアンソロジー』
▼不可視の難民たちと連帯するために
カロリン・エムケ『憎しみに抗って──不純なものへの賛歌』
多和田葉子『地球にちりばめられて』
▼小説にとっての勇気とフェアネス
古谷田奈月『無限の玄』
▼「震災(後)文学」という枠組みの崩壊
北条裕子『美しい顔』
▼批評が成り立つ場としての「うたげ」
三浦雅士『孤独の発明――または言語の政治学』
▼マンガによる「漫画世代」への鎮魂
山本直樹『レッド 1969〜1972』
▼「政治と文学」はいま、いかに語りうるか
赤坂真理『箱の中の天皇』
▼「想像力」よりも「小説的思考力」を
「新潮」二〇一八年一二月号・特集「差別と想像力」
▼ポスト冷戦時代に育った世代の想像力
ミロスラフ・ペンコフ『西欧の東』
▼韓国にとっての「戦後」
ハン・ガン『すべての、白いものたちの』
▼批評家が実作に手を染める時代とは
陣野俊史『泥海』
▼新自由主義からの生還と再起
マーク・フィッシャー『資本主義リアリズム──「この道しかない」のか?』
絲山秋子『夢も見ずに眠った。』
▼元号や天皇(制)の無意味を語るために
「文藝」二〇一九年夏季号
古谷田奈月『神前酔狂宴』
▼「改元の後、改元の前」に芥川の幽霊が語ること
デイヴィッド・ピース『Xと云う患者――龍之介幻想』
▼空疎な「日本語文学」論から遠く離れて
リービ英雄『バイリンガル・エキサイトメント』
▼中国大河SFは人類滅亡と革命の夢を見る
劉慈欣『三体』
▼没後二〇年、「妖刀」は甦ったか?
平山周吉『江藤淳は甦える』
▼神町トリロジーの「意外」ではない結末
阿部和重『Orga(ni)sm』
▼タブーなき世界に「愛」は可能か
ミシェル・ウエルベック『セロトニン』
▼森の「林冠」は人類の精神をも解放する
リチャード・パワーズ『オーバーストーリー』
▼寡作な天才SF作家、一七年ぶりの新作
テッド・チャン『息吹』
▼受け手のないところに打たれたノックを拾う
加藤典洋『大きな字で書くこと』
▼友の魂に呼びかける言葉
崔実『pray human』
▼「当事者研究」が投げかける問い
長島有里枝『「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ』
▼政治と文学の乖離を示すシミュレーション小説
李龍徳『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』
▼「コロナ後文学」はまだ早い
パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』
テジュ・コール『苦悩の街』
▼国を失ったHirukoたちが〈産み〉だすもの
多和田葉子『星に仄めかされて』
■あとがき
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■文芸時評――失われた「文学」を求めて
▼政治を語る言葉を失った日本の小説
村田沙耶香『コンビニ人間』
崔実『ジニのパズル』
▼単なる政権批判や反原発小説ではなく
黒川創『岩場の上から』
▼「ゾンビ」ではなく「武者」を!
古川日出男:訳『平家物語』
羽田圭介『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』
▼孤軍奮闘で書き継いだ「新しい政治小説」
星野智幸『星野智幸コレクション』全四巻
▼「読む人」「書く人」「作る人」のトライアングル
長谷川郁夫『編集者 漱石』
渡部直己『日本批評大全』
▼現代におけるフォークロア
村上春樹『騎士団長殺し』
▼ポストモダンの行き止まりとしての「ド文学」
又吉直樹『劇場』
▼「中核市のリアリズム」が出会った王朝物語
佐藤正午『月の満ち欠け』
▼日本を迂回して世界文学へ
東山彰良『僕が殺した人と僕を殺した人』
▼「震災後」の現代文学の見取り図
限界研:編『東日本大震災後文学論』
「文藝」二〇一七年・秋季号
▼自分自身の場所を確保せよ
レベッカ・ソルニット『ウォークス――歩くことの精神史』
▼迎撃に失敗した昭和・平成の男たち
橋本治『草薙の剣』
▼現代文学の次の「特異点」とは?
上田岳弘『キュー』
▼「パラフィクション」と「ハード純文学」の間に
佐々木敦『筒井康隆入門』
小谷野敦『純文学とは何か』
▼プロテスタンティズムの精神
松家仁之『光の犬』
▼ポストモダニストの「偽装転向宣言」か?
いとうせいこう『小説禁止令に賛同する』
▼行き場を失った者たちが語る絶望の物語
星野智幸『焰』
▼文芸が存在するかぎり終わることはない戦い
古川日出男『ミライミライ』
▼現代中国のスペキュレイティブ・フィクション
ケン・リュウ:編『折りたたみ北京――現代中国SFアンソロジー』
▼不可視の難民たちと連帯するために
カロリン・エムケ『憎しみに抗って──不純なものへの賛歌』
多和田葉子『地球にちりばめられて』
▼小説にとっての勇気とフェアネス
古谷田奈月『無限の玄』
▼「震災(後)文学」という枠組みの崩壊
北条裕子『美しい顔』
▼批評が成り立つ場としての「うたげ」
三浦雅士『孤独の発明――または言語の政治学』
▼マンガによる「漫画世代」への鎮魂
山本直樹『レッド 1969〜1972』
▼「政治と文学」はいま、いかに語りうるか
赤坂真理『箱の中の天皇』
▼「想像力」よりも「小説的思考力」を
「新潮」二〇一八年一二月号・特集「差別と想像力」
▼ポスト冷戦時代に育った世代の想像力
ミロスラフ・ペンコフ『西欧の東』
▼韓国にとっての「戦後」
ハン・ガン『すべての、白いものたちの』
▼批評家が実作に手を染める時代とは
陣野俊史『泥海』
▼新自由主義からの生還と再起
マーク・フィッシャー『資本主義リアリズム──「この道しかない」のか?』
絲山秋子『夢も見ずに眠った。』
▼元号や天皇(制)の無意味を語るために
「文藝」二〇一九年夏季号
古谷田奈月『神前酔狂宴』
▼「改元の後、改元の前」に芥川の幽霊が語ること
デイヴィッド・ピース『Xと云う患者――龍之介幻想』
▼空疎な「日本語文学」論から遠く離れて
リービ英雄『バイリンガル・エキサイトメント』
▼中国大河SFは人類滅亡と革命の夢を見る
劉慈欣『三体』
▼没後二〇年、「妖刀」は甦ったか?
平山周吉『江藤淳は甦える』
▼神町トリロジーの「意外」ではない結末
阿部和重『Orga(ni)sm』
▼タブーなき世界に「愛」は可能か
ミシェル・ウエルベック『セロトニン』
▼森の「林冠」は人類の精神をも解放する
リチャード・パワーズ『オーバーストーリー』
▼寡作な天才SF作家、一七年ぶりの新作
テッド・チャン『息吹』
▼受け手のないところに打たれたノックを拾う
加藤典洋『大きな字で書くこと』
▼友の魂に呼びかける言葉
崔実『pray human』
▼「当事者研究」が投げかける問い
長島有里枝『「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ』
▼政治と文学の乖離を示すシミュレーション小説
李龍徳『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』
▼「コロナ後文学」はまだ早い
パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』
テジュ・コール『苦悩の街』
▼国を失ったHirukoたちが〈産み〉だすもの
多和田葉子『星に仄めかされて』
■あとがき
著者略歴
続きを読む商品概要
発行元
つかだま書房
流通委託先
トランスビュー
発売日
2020/10/06
ページ数
344p
判型(実寸)
188mm × 130mm
ISBN
978-4-908624-10-0
著者
セット商品分売可否
単品分売不可
Cコード/ジャンルコード/ キーワード
0095
読者対象/成人指定
指定なし(デフォルト)